以前、単館で逃した映画。
http://www.onkon.jp/
待ち望んだレンタルがはじまったので鑑賞。
きっかけは池脇千鶴が出てるというだけなのだが、設定がシンプルでゆったり進む程、魅力ある女優なので期待してました。
あらすじは、父と娘(妹:市川由衣)の家に突然、姉(池脇千鶴)が帰ってくる。昔、母親が連れて出て行ったのだが、妹はそれを知らないまま育った。姉は自閉症の一種を抱えており、妹は臭覚がないという障害がある。父が不在の時に描かれる、姉妹の物語。
池脇は、言葉の意味や、物の順序に異様にこだわりがあり素直でまっすぐ、それを崩されるといきなり発狂したりする。人の感情をくみ取れず、世間しらずの恥しらず。音階を写真で記憶しているというのだが、写真が欠けてしまい、それを探しに来たという。
市川は、臭覚が無いのにフードコーディネーター。平和に生活していた普通の女の子。姉が来たことで、知らなくて良かったことを知らされ徐々に、リズムが崩されていく。
池脇はジョゼと虎と魚たち(大好きな映画)で演じたジョゼに近いので、演じやすかっただろう。淡々と真顔で話す場面や、頭の記憶を引き出して棒読みするようなセリフ。違和感がない。
市川は、演技というより日記を書くようなテンションで、等身大の女の子そのまま。
自分の障害を受け止め、努力して今の生活を送る様子が自然に見える。
欠点(障害)は違えど、人は皆、何かが欠けている。
それを補うことは必ずしもできることでは無いけど、声をかけたり、気遣いから始めていく姿が微笑ましい。
映画の映像としては、映画というよりミュージッククリップっぽい。
音楽付きフォトブック。音楽も爽やかで、でもなんか切なくも聞こえる。
人の感情を自分に取り入れることで、
今まで変えられなかった自分の感情をスゥーと流れが変わるように。
そんな生き方のコツを少し理解できた市川の様子は何か良かった。
映画っぽくストーリーは期待せず、暑い夜に冷房効かせて、寝る前にどうぞ。
P.S
残念だったのは、父(宇崎竜童)が役というか彼本来のミュージシャンとい背景が無ければ成立しない役。ある種、映画の演技(俳優)という点から少しルール違反気味で頼っているのはズルい。まぁ父の背景を描くところを省かないとこの映画の良い点がないのかも、と思えば許せる範囲。
音符と昆布
2008/08/06