100歳の少年と12通の手紙

2011/08/26

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2008年のフランス映画。10歳の少年が白血病で余命わずか。真実を明かそうとしない医師や両親の態度に傷つき、誰とも口をきかなくなる。ただ1人、偶然病院内で出会った宅配ピザの女主人で口の悪いローズにだけは心を開く。ピザの注文と引き替えにオスカーの話し相手になることを引き受けたローズは、余命12日のオスカーに1日を10年と考えれば120歳まで生きられると助言し、毎日神様に手紙を書くことを提案する。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id337356/
これは全くもって偏見というか苦手なのが、フランス映画はほとんど見ない。
あの独特な発音が、どうも字幕と場面の感情を同期させてくれない。
そんなのもあって避けて来たのだが、予告とあらすじを観て、久々に単館らしい映画をみることにした。
 残り数日しか無い少年に、病気の事や死が来ることを隠す。
 それは大人や両親が押しつける優しさなのだが、子供に取っては不信となる。

この大きな序章からストーリーが始まるが、この誤解を解こうする映画ではない。
家族が大切!という定番とも言える”お涙頂戴”の映画でもない。
 「嘘に変わる優しさ」と「優しさに変わる嘘」というシンプルな表面上のテーマと
 「無垢な子供」と「心を閉ざした大人」という結構ベタな設定なのだか、

大人が心を開いていく映画というだけでなく、考え方の視点や想像力の可能性を
映像化し、「向き合う」というもののコツを教えてくれる映画とも言える。
少年は、自分が20歳だったらどんなことしてるかな。
そう言ってる間に半日経って25歳になってる!
生意気に「大人って大変」とか、40過ぎれば「浮気もするさ」とか。
 想像力を脱して、本当に年を取っているようだった。
そういう映画としてはある意味問題なく通常の映画として展開するのだが
自分も予想外だったのは、回想シーンがファンタジックに展開されたこと。
ローズがプロレスラーだったという(嘘話?)数々の対戦相手とエピソードをアドバイスに変えて少年に話すのだが回想シーン(バトルシーン)は観客には病院の院長や看護婦がいたり、派手な衣装でドタバタ劇をリング上で展開する。これが20分に1回くらいのペースで差し込まれる。
映画全体の中にも若干のCGを加えるのだが、それは”絵本的なテイスト”に仕上げるためというとてもオシャレなCGの使い方をしている。
この回想シーンや、CGの装飾は普段お涙頂戴ばかりみている人間に取っては
ある意味邪魔になるようなナカヌケになるのだが、この映画はわざとだと思う。
定期的に抜ける非現実的な回想シーンを定期的に入れることで。
 「そういう感情移入しないで観てね」
という監督からのメッセージに聞こえた。
一般的には、どんどん感情移入させて…..なのだが
そういう見方をして欲しくなかったのかも。
全体としては、なんかゴチャゴチャ、、という印象もあるんだけど。映画としては、映像ではなく”画”としての絵作りは監督らしさがでいて「作品」としてまとまっている。時間が短いのもあって本当に絵本のようだった。
最終的には、ベースになっている大人への不信感もクリア、心を閉ざした大人も開くようになり、友情や愛情、生き方の視点や、受け入れるという事、ちゃんと泣かせてもらってたこと、などなど終わってみたら全部片付いてたような。
良い意味での「実感の無い整理整頓」ができてしまってるではありませんか。
最近、ちょっと先が見えてしまう映画や、ありきたりの展開に飽きた方は是非観てもらいたい。
 子供と同じ目線になれば大人だって学ぶ事もある。
 ”相手との距離”は意外にも”目線の角度”なのかもしれない。

絶賛するほど、どうオススメして良いかわからないけど
腹八分目のような抜群の満足感、”素敵”な1本でした。
これは余韻のようなことなんだが、この映画の少年の部分だけを切り抜くと。
 「死ぬまでの成長を描いた映画」なのか
 「受け入れた死に向かっての前進(成長)」なのか

というのを考えるともっと深くなりそうw
フランス語という苦手意識は、この日でサヨナラ。